p=pounds=重量、
H=Hydrogenii=水素
水溶液の酸性/アルカリ性の強さを示す尺度として用いられています。英語読みでピーエイチ、ピーエッチと読みます。以前はドイツ語読みのペーハーも使用されていました。
pHには0~14までの目盛りがあり、7を中性(化学的中性点)といい、純水がpH7です。7より小さくなるほど酸性が強く、7より大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
pH = -log[H⁺]
酸性は水素イオンが多い状態、アルカリ性は水素イオンが少ない状態です。pHが1減少すると水素イオン濃度は10倍になり、1増加すると10分の1となります。
梅干し
pH 2.0
レモン
pH 2.0
りんご
pH 3.0
バナナ
pH 5.0
水道水
pH 6.5-7.0
ビール
pH 4.0-5.0
ヨーグルト
pH 4.0
牛乳
pH 6.7
重曹
pH 8.0-8.5
石鹸
pH 10.6-11.1
pH = 品質保持、微生物の働き
pHは食品の品質保持に重要な役割を果たし、食品添加物pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)が広く使用されています。微生物には、生育に最適な特有のpH範囲があり、酸性側とアルカリ性の生育限界pH値は、微生物の種類によって異なります。
微生物の増殖および代謝は栄養分・水分・温度・pH等によって左右されます。 特にpHは食品の品質保持に重要な役割を果たし、食品添加物pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)が広く使用されています。 微生物生育に最適なpHがあり、酸性側とアルカリ性の生育限界pH値は、微生物の種類によって異なります。最適値pHから外れると微生物の増殖は抑制されます。 HACCPでは微生物制御のための3大モニタリング項目として、温度・水分活性・pHをチェック項目としている食品が多いです。
酸性生育限界値 | アルカリ生育限界値 | 最適pH | |
---|---|---|---|
カビ | 2.0 | 8.5 | 5.0~6.5 |
酵母 | 3.0 | 8.5 | 4~5 |
一般細菌 | 5.0~5.5 | 8~9 | 6~7 |
大腸菌 | 4.5 | 9.0 | 7.0~7.5 |
コレラ菌 | 5.0 | 9.6 | 7.6 |
私たちは毎日、様々な発酵食品を口にしています。和食では味噌、漬物、納豆、しょう油が、洋食でもパン、ヨーグルトは発酵食品です。pH計は発酵工程管理にも用いられます。発酵がうまく進むかどうかは、発酵微生物の正常な働きをいかに引き出すかにかかってくるからです。
水道水のpH基準=5.8~8.6
水道水は、水道法第4条の規定に基づき、「水質基準に関する省令」で規定する水質基準に適合することが必要です。規定は51項目あり、その中にpHも含まれています。pH値8以上だと塩素消毒の効果が低下し、6.5以下では浄水処理過程の凝集効果が低下すると言われています。
水道水のpH基準 | |
---|---|
日本のpH基準 | 5.8~8.6 |
EUのpH基準 | 6.5~9.5 |
USEPAのpH基準 | 6.5~8.5 |
河川・湖沼・海域などの水は、生活環境の保全に関する環境基準である環境基本法により、水質や土壌について望ましい基準を定めています。利用目的よって類型が決まっています。 河川はAA~E類型、湖沼はAA~C類型、海域はA~C類型と分かれており、AA類型が最も綺麗な水、E類型が最も汚い水になります。
河川・湖沼・海域など のpH基準 |
|
---|---|
河川AA~C類型 | 6.5~8.5 |
河川D~E類型 | 6.5~8.5 |
湖沼AA~B類型 | 6.5~8.5 |
湖沼C類型 | 6.0~8.5 |
海域A~B類型 | 7.8~8.3 |
海域C類型 | 7.0~8.3 |
農業において、農業用水基準は、水田で栽培する稲の正常な育成のために望ましい灌漑用水 の指標です。汚濁物質項目毎に、被害が発生しない為の許容限界濃度を検討したもので、 昭和45年に基準が定められました。(法的な基準ではありません) そこでは、pHの基準:6.0~7.5となっており、pHが低すぎると根の発育阻害や塩基の流亡による土壌の老朽化を招き、高過ぎると鉄欠乏による葉の黄化現象などを引き起こすと言われています。
植物には適した土壌酸度(pH)がある
日本の土壌は自然のままではpH4.5~5.6程度で、酸性寄りの傾向があります。植物には適した土壌酸度(pH)があり、適した土壌で育てる必要があるのです。pH4~6は酸性土、pH8~9をアルカリ土と呼び、野菜の多くは、pH6~6.5でよく育つと言われています.酸性土では、野菜の根が傷んで必要な栄養を十分に吸収できなくなります。
酸性土では、野菜の根が傷んで必要な栄養を十分に吸収できなくなります。 酸性土を中和する(pHを上げる)ためには、消石灰・苦土石灰・有機石灰(かき殻)を加えます。
pH5.8に | pH6.0に | pH6.2に | pH6.8に | pH5.8に | ||
---|---|---|---|---|---|---|
pH 5.0~5.5 |
苦土石灰 | 25~75 | 45~90 | 25~75 | 65~110 | 85~130 |
消石灰 | 20~50 | 30~60 | 45~75 | 55~85 | 65~110 |
一般的にアルカリ土は見られませんが、石灰などのアルカリ性資材を過剰に施用した場合やハ ウス栽培を続けた場合、アルカリ土になると言われています。 アルカリ土ではリン酸や鉄等の必須養分が不溶化し植物が利用できなり、栄養失調状態に陥っ た植物は風害・塩害をきっかけに衰退、枯死する恐れがあるのです。 アルカリ土を中和するには、酸性肥料を撒くか、時間を費やして、とうもろこし栽培・ほうれん草栽 培で土中の塩類・石灰分を吸収させる方法があります。
野菜づくりに必要な土のpH
キャベツ
pH6.0~7.0
パプリカ
pH6.0~6.5
ジャガイモ
pH5.0~7.0
セロリ
pH6.0~6.5
栗
pH5.0~5.5
ゴボウ
pH5.5~6.5
ブロッコリー
pH 6.0~6.5
ショウガ
pH6.0~6.5
ピーマン
pH5.5~6.7
とまと
pH6.0~7.0
きゅうり
pH6.0~6.5
人参
pH5.5~7.0
カブ
pH5.5~6.5
サツマイモ
pH5.0~7.0
ニラ
pH6.0~6.5
白菜
pH6.0~6.5
サトウキビ
pH6.0~8.0
梨
pH6.0~6.5
ナス
pH6.0~7.0
かぼちゃ
pH6.0~6.5
たまねぎ
pH6.0~7.0
スイートコーン
pH6.0~6.5
いちご
pH5.5~6.5
ブルーベリー
pH4.5~5.0
カリフラワー
pH5.5~7.5
桃
pH6.0~7.5
大根
pH6.0~7.0
オクラ
pH6.0~6.5
落花生
pH5.5~6.5
イチジク
pH6.5~7.0
レタス
pH6.0~6.5
ほうれん草
pH6.5~7.0
アスパラガス
pH6.0~7.0
スイカ
pH6.0~6.5
インゲン
pH6.0~6.5
にんにく
pH5.5~6.5
適切閾値でのpH管理が重要
水溶性の油剤の一般的な使用環境は、微生物(バクテリア、酵母、黴)が繁殖するための好条件下にあります。微生物の増殖は、油剤を腐敗させ加工不良を生じさせます。さらに、防錆性も低下するため加工部品や工作機械に錆が生じます。また微生物の中には、ひどい腐敗臭を放つものもあり工場内の作業環境の悪化を招きます。
微生物の増殖は、弱酸性から弱アルカリ性のときに起きやすく腐敗が進むとpHが低下するため管理の指標になります。 また、pHが高過ぎる場合もよくありません。皮膚はアルカリに侵されるのでpHが高い油剤は皮膚炎が生じやすくなります。
pHが低過ぎる場合
・腐敗の進行
・乳化安定性の低下
・錆の発生
適正なpH
pHが高過ぎる場合
・手荒れや悪臭の発生
・被削材の変色
・工作機の寿命低下